【いわきFC】クラブハウスだけじゃない!筋肉もビジョンもスケールが大きいです!


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愛衣さん、今日はどんなお話ですか?

今日はいわきFCについて解説するわ。

いわきFCですか?
今期(2022シーズン)からJ3に加盟したクラブですよね?
フィジカルが強い印象があります。

このいわきFCは日本初のクラブハウスを持つチームなの。

日本初ですか?
気になりますね!

今回は特にやらかしがあるわけではないけど、いわきFCの誕生と今後の問題について解説するわ。

お願いしまーす。

いわきFCは、福島県いわき市、双葉郡広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、葛尾村をホームタウンとする、Jリーグに加盟するプロサッカークラブ。
ホームスタジアムは、広野町のJヴィレッジスタジアムで、いわき市のいわきグリーンフィールドでも試合を行うことがあるわ。
JFL参戦時はいわきグリーンフィールドをホームスタジアムとしていたけど、いわきグリーンフィールドはJ3のスタジアム要件を満たしていなかったの。
J3ではJヴィレッジスタジアムをホームスタジアムとして申請したの。
練習場はクラブハウスがある「いわきFCパーク」内の「いわきFCフィールド」。
練習会場・および福島県リーグと東北リーグ時代はここを主戦場としていたわ。
エンブレムは、いわき市のシルエットを模したものに、右肩上がりの太いラインが入れられており、地域と共にあるチーム像、チームと共に上昇していくいわき市の姿を表している。
チームカラーは、ハワイのキングが着用する伝統衣装にちなんだ「KINGレッド」と、小名浜港をはじめとした、いわきの湊を象徴する「湊ブルー」。
マスコットキャラクターはフタバスズキリュウをモチーフとした2体のキャラクターで、公募により浜通りに由来する、「ハーマー&ドリー」の名前が名付けられたわ。

いわきFCはどのように創設されたのですか?

いわきFCの誕生のきっかけは、2011年の東日本大震災なの。
現在のいわきFCの親会社でアンダーアーマーの日本総代理店である、株式会社ドームの社長の安田秀一は、震災発生の8日後に、支援物資を届けるため被災地を訪れたの。
街一帯が壊滅した姿を目の当たりにし、

と本能的に感じたそうよ。
ドーム社は「スポーツを通じて社会を豊かにする」というミッションがあって、その中で「東日本大震災の復興から成長へ寄与する」ために立ち上がったわ。
雇用を創出し、経済を回すことが復興の本質であると考えた安田は、いわき市に広大な土地を購入して、2015年に物流倉庫の「ドームいわきベース」を建設したの。

物流倉庫とサッカークラブにどういう関係があるのですか?

少し時が戻るけど、2014年に当時の湘南ベルマーレ社長の大倉智に安田から「会いたい」と話が来たわ。
2人は同い年で大学時代から面識があったそうなの。
安田は大倉に

と相談を受けたの。
最初は否定的だった大倉も、安田の復興に向けた行動や日本のスポーツ界で新たなモデルを築きたい想いに、大倉の心は徐々に動いていったわ。
この2人によって、復興のシンボルとしていわき市でサッカークラブを運営するという構想がスタートしたの。
「ドームいわきベース」の敷地内にサッカーグラウンドとクラブハウスを整備したわ。

チームは1から作ったのですか?

当時、福島県3部東リーグに所属する、2012年に創設された「いわきFC」が存在していたわ。
いわきFCが2015年シーズンに福島県3部東リーグで優勝し、2016年からの福島県2部昇格を決めたタイミングだったの。
いわきFCの代表で、監督をしていた向山聖也は新チームのビジョンを聞き、「ぜひ一緒にやりたい」と共感したの。
ドーム社は「株式会社いわきスポーツクラブ」を設立したわ。
社長には、湘南ベルマーレの社長を辞任した大倉智がなったの。
株式会社いわきスポーツクラブはいわきFCの運営権を譲渡してもらい、福島県2部からスタートすることになったの。
新生いわきFCはドーム社の、「スポーツを通じて社会を豊かにする」という理念の下、「いわき市を東北一の都市にする」、「日本のフィジカルスタンダードを変える」「人材育成と教育を中心に据える」というクラブビジョンを掲げているわ。
でも、選手はゼロから集めることになったわ。
大倉が自ら声をかけて獲得した選手が約10名ほどいたけど、これではサッカーができないから、トライアウトを実施することにしたの。
トライアウトには100人以上の応募があったわ。

結構集まったのですね!

そこから22人を選び、監督には元オランダ代表のピーター・ハウストラ氏を招聘したわ。
それでも、チーム自体はまだアマチュアだったから、選手は全員ドームの契約社員として雇用されたの。
午前中はドームいわきベースの敷地内に設けられた練習場の「いわきFCフィールド」で練習を行い、午後は「ドームいわきベース」で、ドームのスタッフとして働いていたわ。
その後、数年間はプロ契約とアマチュア契約の選手が混在していたけど、JFL参戦時に所属選手全員とプロ契約を締結し、プロ選手のみが所属するプロサッカークラブとなったわ。
練習はドーム社のノウハウを生かしたフィジカルトレーニングを主体としていて、選手全員が専門の栄養士が管理する食事を原則3食取り、サプリメントの供給を受けるなど、選手の肉体強化に主眼を置いた練習方針となっているわ。

それでフィジカルが強いのですね!

社長の大倉も雑誌の取材で

っていているくらいだから、いわきFCのブランドとして定着できているわね。

なんでこんなにフィジカル重視なのですか?

身体が少し接触しただけで選手が倒れてしまう、日本サッカーへのアンチテーゼね。
延長に入っても運動量が落ちない、当たり負けしないような、世界で通用するレベルの選手を育成しようと考えているの。

なるほどー。
成績の方はどうなんですか?

新生いわきFCとなった2016年シーズンは、福島県2部リーグを10戦10勝、93得点1失点で優勝して、福島県1部に昇格。

圧倒的な強さですね!

翌年の2017年も、福島県1部リーグで10戦10勝、93得点0失点で優勝。
東北2部に昇格したわ。

福島県では敵なしの強さですね!

この年は6月に天皇杯2回戦があったの。
対戦相手はJ1のコンサドーレ札幌。
試合は後半のアディショナルタイムにゴールを奪い合って、延長戦に突入するドラマチックな展開になったの。
90分を終えた時点でのスコアが2対2だったわ。
そして延長に入るとコンサドーレを圧倒。
3ゴールを奪い、5対2で勝利したわ。

J1のクラブに勝ったのですね。
まさにジャイアントキリング!

この日は雨でピッチ状態は良くなかったの。
それにもかかわらず、延長戦でもパフォーマンスが落ちなかったのよ!

フィジカルトレーニングが実を結んだ感じですね!

2018年シーズンは、東北2部南リーグを18戦18勝で優勝。
2019年シーズンは、東北1部リーグを15勝3分で優勝。
全国地域サッカーチャンピオンズリーグへの出場権を獲得したわ。

優勝すればJFLですね!

全国地域サッカーチャンピオンズリーグは1次ラウンドを2勝1分で1位通過。
決勝ラウンドも2勝1分の成績で優勝したの。
翌年のJFL昇格の権利を獲得したわ。

あっという間にJFLまで来ましたね!

このJFL昇格確定後、JリーグにJ3入会の第1条件である「Jリーグ百年構想クラブ」の入会申請をしたわ。
2020年2月25日にJリーグ百年構想クラブとして承認。
承認に伴い、ホームタウンを従来のいわき市に双葉郡6町2村を加えた、計9市町村へ拡大することも併せて発表されたわ。
2021年にJ3リーグ加盟へ向けたJ3リーグライセンスの申請を行い、JリーグからJ3ライセンスが交付されたわ。

これで早ければ2021年からJ3ですね!

でも、JFL1年目は7位という結果で終了してしまうの。
J3昇格にはならなかったわ。

JFLの洗礼を浴びたのですね。

2021年シーズンは、開幕3連勝や第7節からの4連勝など、序盤から好調を維持したわ。
10勝5分け1敗の首位で、シーズンの前半を折り返したの。
そして、11月3日の東京武蔵野ユナイテッドFC戦の勝利で、JFL年間4位以内を決めて、2022年のJ3加盟要件をクリアしたわ。
11月25日のJリーグ理事会で、2022年からのJリーグ入会が承認されたの。
ちなみにこのシーズンはJFLで優勝したわ。
J3に参戦した2022年シーズンは、14節終了時点で2位になっているわ。

J初参戦のチームとしては大健闘ですね!

この調子なら、J2昇格の可能性もあるわね!

それにしても、豪華なクラブハウスですよね!

スポーツビジネスを研究していたドーム社長の安田は

という観点に着目し、一般市民も気軽に立ち寄れるサッカークラブを目指して、商業施設複合型のクラブハウス、「いわきFCパーク」を建設したの。

商業施設を兼ね備えているクラブハウスは、日本では他にないですよね!

この日本初のクラブハウスは2017年に全面開業したわ。
3階建ての鉄筋造りの建物で、チームカラーの赤の外壁が特徴的ね。
1階にはアンダーアーマーのアウトレットショップ、2階には英会話教室とドーム経営のジム、いわきFCのロッカールームが設置されているわ。
3階には飲食店が入居しており、グラウンドに面したガラス窓とテラス席が設置されていて、試合や練習を見ながら飲食ができる特徴があるの。

試合や練習を見ながら食事が出来るのはいいですね!

今はないけど、オープン時にはすき焼きで有名な浅草今半やお寿司屋さんも出店していたのよ!

商業施設があるグラブハウスってなかなか考えましたね!

そして、クラブハウスの隣には、練習グラウンド兼スタジアムの「いわきFCフィールド」があるの。
サッカーコート1面、フットサルコート2面が整備されていて、観客席も設置されているわ。
当時、県リーグレベルのチームが専用のグラウンド・クラブハウスを設置することで話題にもなったわ。

確かに、アマチュアチームにしては豪華ですもんね!

「いわきFCフィールド」は人工芝のグラウンドだけど、いわきFCの練習だけでなく、福島県リーグの公式戦や各種サッカー大会、大学クラブチームなどの合宿会場にも使用されているわ。
東北社会人リーグまでは、いわきFCのホームスタジアムだったの。

JFLではホームスタジアムとして使われなかったのですか?

JFL以上の全国規模のリーグ戦に参加する場合は、天然芝しか使用することができないのよ。

なるほどー。

ただ、そんないわきFCだけど、問題があるの。

どんな問題があるのですか?

まずは経営面ね。

親会社も潤沢で、練習グラウンドやクラブハウスなどが充実しているから問題ないと思うのですが…

スピード昇格と豪華施設の印象から「裕福なクラブ」と誤解している人もいるけど、現実はそうでもないの。
親会社の手厚い支援はスタートアップの時期だけだったわ。
親会社からの支援は当初の3分の1程度に減っているの。
練習グラウンドやクラブハウスにしても、親会社の所有だから、いわきFCは賃料を払っているわ。

そうなんですね!
私も誤解してました。

現在、いわきFCの年間予算は約6億円程度。
J3平均の4.6億円は上回っているけど、J2平均の15億円、J1平均の38億円には遠く及ばないわ。
日本経済と地方クラブの現実を考えれば、容易に到達できる数字でもないの。

なかなかクラブ経営は難しいのですね。

もう一つ問題があって。


まだなにかあるのですか?

スタジアム問題があるわ。
冒頭でも触れたけど、JFL時代には「いわきグリーンフィールド」をホームスタジアムとして利用していたわ。
いわきグリーンフィールドはJ2どころか、J3の基準も満たしていなくて、J3ではJヴィレッジスタジアムをホームスタジアムとして使用しているの。
でも、JヴィレッジスタジアムもJ2の基準を満たしていないから、いまのままでは仮に順位条件をクリアしても昇格できないの。

やっぱりJリーグはスタジアムに厳しいですね。

観客動員数はクラブ収益に直結するからね。
Jリーグの規定では、J3は収容人数5,000人、J2は1万人、J1は1万5,000人規模のホームスタジアムが必須条件となっているわ。

もし順位条件をクリアした場合はどうなるんですか?

そもそも福島県内には、J2基準を満たせるスタジアムが一つもないの。
でも、Jリーグはスタジアム基準に関する例外申請を認めているの。
既存のスタジアムを基準を満たすスタジアムに改修することが決定している場合は、昇格後3年以内、もしくは、別にスタジアムを建設することが決まっている場合は、昇格後3年以内に建設予定地を定め、5年以内に竣工する猶予を認めているの。
いわき市では、とりあえず、いわきグリーンフィールドをJ3基準にする改修を検討しているわ。
暫定的なJ2ライセンス取得を目的に改修するようね。
それとは別に、いわき市内にスタジアムの新設についても検討しているの。
いわき市は、サッカースタジアム整備の事業可能性調査を行ったの。
市内では平、小名浜、内郷、常磐地区が候補地に浮上し、誘致団体が設立されるなど、盛り上がりをみせたわ。

結果はどうだったのですか?

いずれの地区に整備した場合も、年間7,000万円以上の赤字が想定されるという結果になったの。

採算が取れないのですね。

スタジアムの年間運営費用には、約1億7,000万円かかるわ。
年間収入は付帯設備収入、広告費、合宿やフェス使用料などを合わせても約1億円しかなかったの。
スタジアム整備にかかる初期投資は、屋根無しスタジアムでも、約110~120億円かかるわ。
さらに周辺の用地取得やインフラ整備費用として、20億~50億円かかることが予想されるわ。

仮にスタジアム整備をいわきFC、インフラ整備をいわき市が担うとしても、相当な金額が必要になりますね。

一方で、いわきグリーンフィールドを改修する場合の試算も行われたわ。
一気に改修する場合は約110億円かかり、いわきFCの昇格に合わせて、段階的に整備する場合は約35億~38億円ずつかかる試算だったの。
この結果に対して、大倉智社長は

と語っているわ。

スタジアムの問題はなかなか難しいけど、早く解決すると良いですね!
個人的にはJ1でフィジカルサッカーを見てみたいです。

そうね!
私も見てみたいわ!
それでは、今回はこの辺で!

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