【V・ファーレン長崎】ジャパネットが親会社になって生まれ変わったJグラブ。


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愛衣さん、今日はどんなお話ですか?

今日は「V・ファーレン長崎」について解説するわ。

V・ファーレン長崎ですか?
今(2022年)はJ2に所属するクラブですね!

過去に経営危機になったことがあるチームなの。

そうなんですねー。

今日はV・ファーレン長崎の生い立ちと、過去の経営危機について解説するわね!

よろしくお願いしまーす。

まずは、V・ファーレン長崎の紹介をするわね。
V・ファーレン長崎は、長崎市、諫早市を中心とする長崎県全域をホームタウンとしているプロサッカークラブ。
2009年にJリーグ準加盟クラブとして承認され、2012年11月にJリーグへ加盟したわ。
チーム名の「V」は、ポルトガル語で勝利を意味するVITORIA(ヴィトーリア)。
多様性を意味するVARIEDADE(バリエダーデ)と、オランダ語で平和を意味するVREDE(フレーデ)の頭文字、「ファーレン」は、オランダ語で「航海」を意味しているの。
「海に囲まれた長崎から世界へ航海に出る」という意味で名付けられたわ。

頭文字は「ブイ」ではなくて「ヴィ」って読むのですね。

ホームスタジアムは諫早市の長崎県立総合運動公園陸上競技場。
今はネーミングライツで、トランスコスモススタジアム長崎になっているわ。
練習場は諫早市の「諫早市サッカー場」、「なごみクラブハウス」を主に使用しているの。
クラブマスコットはヴィヴィくん。
長崎県の県獣に指定されている「九州シカ」と県鳥の「オシドリ」にクラブ名の頭文字である「V」を組み合わせた少年をデザインしたものとなっているわ。
クラブエンブレムは長崎県の県鳥の「おしどり」と、チームカラーの青とオレンジをあしらったデザインになっているの。

V・ファーレン長崎は、どうやって設立されたのですか?

V・ファーレン長崎の前身は有明町で活動していた「有明SC」というアマチュアのサッカークラブ。
2004年に長崎県からJリーグ加盟を視野にいれ、国見高校サッカー部OBを中心に結成された「国見FC」と統合したの。
新生・有明SCが誕生したわ。
国見FCと統合した有明SCは、2004年シーズンに長崎県社会人サッカーリーグ1部で優勝。
九州各県リーグ決勝大会で準優勝を果たして、翌シーズンの九州リーグに昇格したわ。
2005年は元サッカー日本代表の高木琢也が、テクニカル・アドバイザーに就任。
また、同年よりチーム名を「V・ファーレン長崎」へ改称したわ。
長崎県の支援もあり、運営法人設立の準備が本格的にスタートしたの。

本格的にJリーグを目指し始めたのですね!

2006年4月にNPO法人のV・ファーレン長崎スポーツコミュニティを設立。
同年6月には株式会社V・ファーレン長崎を設立したわ。
初代社長には、元国見高校のサッカー部監督の小嶺忠敏が就任したの。
クラブの運営法人をNPO法人から株式会社V・ファーレン長崎へ移行したわ。

成績の方はどうだったのですか?

成績は、2005年シーズンは3位で終わったけど、2006年シーズンの九州リーグで初優勝し、全国社会人サッカー選手権大会も優勝したの。

勢いがありますね。
そのままJFLに昇格したのですか?

JFL昇格をかけた全国地域サッカーリーグ決勝大会は、予選グループは突破して決勝ラウンドまで進出したけど、決勝ラウンドは3戦3敗の成績で最下位に終わって、JFL昇格は逃したの。

あと一歩及ばなかったのですね。

翌2007年シーズンはまたしても3位、2008年シーズンは2位だったけど、前回大会の決勝ラウンド進出チームの所属地域が九州リーグだったために2位でも全国地域サッカーリーグ決勝大会に出場できたわ。
全国地域サッカーリーグ決勝大会は、予選グループを全勝で突破して、決勝ラウンド進出を決めたの。
この年はJFLに所属していた3チームがJリーグに昇格したために、決勝ラウンドの上位3チームがJFLに自動昇格できたの。
V・ファーレン長崎は準優勝してJFL昇格を決めたわ。
ちなみに、この時の優勝チームは町田ゼルビアだったの。

Jリーグまであと一歩ですね!

でも、ここからJリーグ昇格まで苦難が続いたの。

何があったのですか?

2009年2月にJリーグ準加盟クラブとして承認されたけど、ホームスタジアムの長崎県立総合運動公園陸上競技場が2010年7月から3年間、国体の開催に伴う改修工事が行われることになったの。
Jリーグ入会予備審査で、改修時期の代替スタジアムの目処が無いことなど指摘があって、2010年度のJ2加盟は断念したわ。

やはりJリーグはスタジアムに厳しいですね。

ちなみに、JFLリーグ戦は11位の成績に終わったの。
天皇杯は2回戦で横浜Fマリノスに敗退したわ。
2010年もJリーグ入会予備審査で、前年同様の指摘を受けたわ。
やっぱり代替スタジアムが見つからずに、2011年度のJリーグ加盟を断念したの。

そうですよね。
3年間の改修工事ですもんね。

2年連続でスタジアム問題等により、J2参入を逃した責任を取って、運営会社の代表取締役だった小嶺忠敏が辞任したわ。
リーグ戦は5位の成績。
天皇杯は2回戦でまた横浜Fマリノスに敗退したの。

戦力は着実に上がってますね。

2011年は運営会社の社長に、元長崎銀行支店長の宮田伴之が就任し、小嶺忠敏はチームアドバイザーに就任。
それでも代替スタジアムが見つからず、Jリーグ入会予備審査申請を見送ったわ。
リーグ戦は5位の成績。
天皇杯は2回戦で東京ヴェルディに敗北。
2012年は、2013年シーズン開幕までにスタジアムが開始できることを条件にJ2ライセンスが交付されたわ。

やっとライセンスが交付されたのですね。
成績が良かったらJリーグ昇格ですね!

リーグ戦は前半戦を首位で折り返して、その勢いのまま、JFLを初優勝したわ。
そしてJリーグ臨時理事会で、正式にJリーグへの入会が承認され、2013年シーズンからのJ2参加が決定したの。

やりましたね!
念願のJリーグ入りですね!

J2では、高木琢也が監督に就任。
2013年は6位、2014年は14位、2015年は6位、2016年は13位と上がり下がりが大きかったわね。
2013年と2015年のJ1昇格プレーオフは、ともにJ1昇格は逃しているわ。

J1の壁は厚いですね!

でも、2017年は2位になり、自動昇格で翌シーズンのJ1昇格を決めたわ。

やりましたね!
ついにJ1まで行ったのですね!

でも、J1では最下位になって、1年でJ2に戻っているわ。
その後は、J2で上位をキープするも、J1昇格は出来ていない状態ね。

J1での戦いはなかなか厳しいのですね。

そんなV・ファーレン長崎だけど、J1昇格を決めた2017年に、経営危機が訪れたの。

何が起きたのですか?

もともとV・ファーレン長崎のクラブ運営は、クラブの取締役GMの服部順一とスポンサーで、県内の大手ガス会社を経営するチョープロの荒木健二が手を組むことで支えられてきたの。
内部的には服部が信頼するスタッフのみで構成する、GM室への権限集中により、スタッフ間での情報・待遇・業務の格差が拡大していったわ。
2016年に池ノ上俊一が代表取締役になった後は、この傾向は一層強くなって、一部のスタッフを除いて、クラブの現状が分からないという状態に拍車がかかっていったの。

一般企業でもありそうな話ですね。

そんな中、JFAとJリーグへクラブの運営や経営を疑問視する、匿名の投書が3回も送られてきたわ。
長崎は1度目と2度目にJFAへ送られた投書に対して、問題なしと回答したけど、3度目の投書を受け取ったJリーグは問題を重視し、V・ファーレン長崎に外部監査を受けるよう要請したの。
V・ファーレン長崎は、外部監査人と顧問弁護士のもとで調査を始めたけど、クラブ側が主導していたせいか、中立性を欠いた調査手法と、投書内容以外の調査に注力した報告書となっていたの。
当然、監査報告はJリーグによって否定され、今度はJリーグ主導による、再調査が入ることになってしまったわ。
クラブは財務立て直しの一環として、増資を行なっていたのだけど、これらの情報が広まり始めると、支援を見合わせるスポンサーが現われはじめたわ。
スポンサー離れが続いていって、財務状態はさらに厳しくなっていったの。
そして、突如1億2000万の赤字と、約3億もの累積赤字を出す事態に陥ったわ。
さらに池ノ上が経営する、クラブハウス内に開院された整骨院による保険不正受給疑惑もあったの。

ボロボロですね。

2017年3月に開かれた臨時株主総会では、資金不足が深刻化し、早ければ4月にも、社員への給与未払いが発生する見込みであることが明らかにされたわ。
こうした中で、メインスポンサーのジャパネットが、多くの関係者から全面支援と経営参加を期待されたの。
ジャパネットは自らの影響力の大きさと立場を自覚し、不用意にクラブ運営に介入せずに、支援者に徹していたけど、この問題があかるみに出たときに、ジャパネットの高田旭人社長は、「救援したい」と父である高田明前社長に訴えたそうなの。
ジャパネットはV・ファーレン長崎への支援を決断したわ。

ジャパネットって、あのテレビショッピングで有名な企業ですよね?

そうね!
本社が長崎県佐世保市にあるのよ。
でも、支援の手は思いがけないところから上がったの。
英会話スクールを運営するNOVAホールディングスが、V・ファーレン長崎に5億円の出資を打診してきたわ。

なぜNOVAが打診してきたのですか?

子ども向けのサッカー教室を展開するため、サッカー界での人脈づくりを進めたかったようね。
クラブも県内の企業を最優先としながらも、受け入に前向きな姿勢を示したの。
これに対して、クラブへの支援を決断したジャパネットは株式を100%取得し、完全子会社化して、3年で10億円以上を支援する意思を表明したわ。
クラブ側は一刻も早い資金調達と、Jリーグへの報告するための時間的な制約を理由に、NOVAの支援受託を発表したのだけれど、県内最優先と公表しながら、地元企業の打診を即日に退けたことで、株主・スポンサー・サポーターから猛反発を受けたの。
結局、発表翌日にはジャパネットの支援受け入れを表明したわ。
2017年4月20日時点で、ジャパネットが第三者割当増資と既存株主からの株式譲渡により、クラブ運営会社の89.5%の株式を取得。
5月16日付で全株式を取得して、株式会社V・ファーレン長崎を完全子会社化したわ。
ジャパネット社長の高田旭人は、全社員に直接メールを送り、経営再建に参画したい社員を募集したの。
応募条件は3つ。
長崎が好きであること。
サッカーが好きであること。
そして意志を持って参加すること。
その日のうちに多くの社員が手を挙げ、その中の数名とともに準備室の立ち上げが行われたわ。
そして、新生V・ファーレン長崎はスタートを切ったの。
ジャパネットの創業者の高田明が、子会社後の最初の社長に就任したの。

ジャパネットが親会社になったのですね!

新たな経営陣が、過去の経営体制の洗い直しを行っていたところ、2015年の開幕節から、2017年第6節までのホームゲーム45試合で発表された入場者数について、広告収入減を避けるためとの理由から、入場者数に運営関連スタッフ等を上乗せして発表していたことが判明したわ。
新運営会社はJリーグに報告の上、Jリーグから制裁金300万円の処分を受けたわ。

いきなりツケを払わされた感じですね。
ジャパネットが親会社になったことで、変わったことはあったのですか?

選手に対しては、ジャパネットと縁のある講師を招き、健康管理・知識・メンタル面の強化を実施したり、食生活や睡眠サポートを導入したの。
そして「試合前も後も楽しめるスタジアム」を目指し、スタジアムグルメを充実させ、ゴール裏にはLED看板を導入し、新規のグッズ開発も精力的におこなったわ。
V・ファーレン長崎が、独立して採算が取れる組織になるように立て直しをおこなったの。

選手にとっても、サポーターにとっても、良いことだらけですね!

そして、極めつけなのが、2017年に長崎市幸町にある、三菱重工業長崎造船所幸町工場の再開発事業計画案募集に、V・ファーレン長崎の親会社となった、ジャパネットホールディングスが応募したの。
ジャパネット主導で、陸上トラックがない球技専用スタジアムが建設されることになったわ。

ジャパネット主導ってすごいですね!

「長崎スタジアムシティプロジェクト」と名付けられた計画では、約2万3000人収容のサッカー専用スタジアムとアリーナを建設して、その周辺にマンションやオフィス、商業施設、ホテルを建設するというものなの。
スタジアムは1席当たりの大きさや座席間隔を広げたり、オフィスや商業施設を含めて、ICTを活用した施設とすると発表しているわ。
2022年に着工し、2024年中の完成を目指すとしているの。

ジャパネットってそんなに資金があったのですね!

ジャパネットが親会社になって、さらに面白くなりそうなクラブになったわね。

新スタジアムはJ1でお披露目できるように、またJ1に昇格してもらいたいですね。

それでは、今日はこの辺で!

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