【鹿児島ユナイッテッドFC】2つのクラブが統合して生まれたグラブチーム。
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今日は「鹿児島ユナイテッドFC」について解説するわ。
鹿児島ユナイテッドFCですか?
J3のチームですよね?
J3のチームの中でも、上位に食い込んでいて、頑張っているクラブというイメージがあります。
今回はそんなにやらかしがあるクラブではないけど、クラブ創設が独特だったから今日は「鹿児島ユナイテッドFC」について解説するわね!
まずは、鹿児島ユナイテッドFCの紹介をするわね。
鹿児島ユナイテッドFCは、鹿児島県鹿児島市をホームタウンとする、J3に所属するサッカークラブよ。
ホームスタジアムは鹿児島では聖地とされている、鹿児島県立鴨池陸上競技場。
今はネーミングライツで白波スタジアムになっているわ。
練習場は、鹿児島市中山町にある鹿児島ふれあいスポーツランド内の鹿児島県立サッカー・ラグビー場をはじめ、県内の複数のグラウンドで練習を行っていて、自前の練習場を持たない状況が続いていたの。
2020年3月、鹿児島市が多目的公園の喜入いきいきふれあい広場を鹿児島ユナイテッドFCに無償貸与する契約を締結したの。
鹿児島ユナイテッドFCは地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)を活用して資金を募り、天然芝2面・人工芝1面の練習場及びクラブハウスの整備を行うことになったわ。
募金活動と並行して整備が行われており、2021年10月に練習場としての利用が始まったの。
ちゃんとした練習場があると、選手の士気もあがりますね。
運営会社は株式会社鹿児島プロスポーツプロジェクト。
チームカラーは白および紺。
マスコットキャラクターは「ゆないくー」で、薩摩犬をモチーフとしているの。
そもそも鹿児島ユナイテッドFCは、どういった経緯で設立されたのですか?
実は鹿児島ユナイテッドFCは、2つのクラブが統合したことで2013年に誕生したのよ。
鹿児島県は高校サッカーの名門である、鹿児島実業高校を擁していたり、日本代表で最多出場を誇る遠藤保仁や日本代表の大迫勇也らの出身地でもある鹿児島は、全国屈指のサッカーどころなの。
当然、鹿児島にもJクラブをとの声が上がるわ。
確かにそうですね。
Jリーグができてから長い間、鹿児島にJクラブがないのが不思議でした。
元々、鹿児島には「ヴォルカ鹿児島」というJリーグを目指すクラブが存在していたの。
ヴォルカ鹿児島の前身は、1959年に創設された鹿児島サッカー教員団。
73年にスタートした九州リーグのオリジナルメンバーであり、一度として県リーグに降格しなかった名門として知られているわ。
1995年に、その鹿児島サッカー教員団がJリーグ参入を目指すとともに「ヴォルカ鹿児島」と名称変更してクラブチームに移行したわ。
クラブ名のヴォルカはフランス語で火山を意味する「ヴォルカン」を由来にしており、鹿児島のシンボルの一つである桜島をイメージしているわ。
2003年に2010年からのJ1参戦を目指し、SPONET鹿児島という団体を設立して、監督に前田浩二、コーチに内藤就行、野田知を現役選手兼任で招いたわ。
でも、プロ化を意識したクラブ運営ができる人材や組織に恵まれなかったの。
NPO法人や評議会が作られては、「鹿児島にJクラブを」といったスローガンを掲げるものの、実体も実行も伴わなかったわ。
「上がる上がる詐欺」と揶揄する者もいたくらいなの。
それでも、2008年からは新しく運営団体を「Kagoshima Arcadia Project Sports」とし、JFL昇格を目標にシーズンを戦うこととなったわ。
2011年にJリーグ準加盟申請を行う事が発表になったわ。
そんな中、鹿児島にもう一つJリーグを目指すクラブが誕生したの。
それが、「FC KAGOSHIMA」。
2010年に鹿児島県リーグ1部に所属していた大隅NIFSユナイテッドFCを現在の鹿児島ユナイッテッドFCの代表を務める徳重剛がFC KAGOSHIMAに改称。
2011年度の九州リーグ加盟、2014年度のJFL昇格、2017年度のJリーグ加盟を目指すと発表したわ。
徳重剛は監査法人トーマツで働く公認会計士だったの。
徳重自身は大学でサッカーをやっていたこともあり、イギリスのリバプール大学のサッカー産業MBAに留学して、サッカークラブに会計士として関わることを想像していたそうなの。
トーマツの後輩から誘われて、スポーツビジネス界の方々が集まるパーティーに参加した際に、電通の有川久志と「鹿児島にJリーグクラブを作ろう」ということで意気投合。
その後、イギリスに留学予定だったのだけど、トーマツをやめた後に、アルバイトをしていた会計事務所に当時の大隅NIFSユナイテッドFCの代表を務めていた井上尚武の娘がスタッフとしていて、彼女の紹介で井上尚武に会ったそうよ。
そして、「鹿児島にJリーグのクラブをつくりたいので、協力してもらえませんか」と話したところ、「若い人が東京から頑張るというのなら、ぜひ協力する」と理解を得ることができたの。
こうして、大隅NIFSユナイテッドFCを母体に、FC KAGOSHIMAが誕生したわ。
実は徳重はFC KAGOSHIMAを立ち上げた当初から、ヴォルカ鹿児島との統合を前提条件と考えていたの。
鹿児島県の経済規模を考えたら、Jリーグを目指すクラブが2つもあるのは、どう考えても現実的ではなかったのね。
それと、同じ県民なら力を合わせようという考えの方が、鹿児島県内では多数派だったことも大きかったみたいなの。
2012年FC KAGOSHIMAが九州リーグを優勝すると、地元紙である南日本新聞に徳重の記事が掲載され、「理想はヴォルカ鹿児島とひとつになって、鹿児島が一体となって戦うこと」というコメントが載ったわ。
そこから鹿児島県サッカー協会も両クラブの統合を促すようになったの。
また、ヴォルカ鹿児島の選手の中にも、統合を前向きに考える選手は少なくなかったの。
練習環境はヴォルカ鹿児島よりもFC KAGOSHIMAの方が良かったみたいね。
2012年シーズンオフの期間に統合に向けた交渉が行われたのだけど、ヴォルカにしても、鹿児島県サッカー協会にしても、まだ心構えができていなかったわ。
結局、準備不足で統合交渉はまとまらずに、交渉期限が切れたわ。
FC KAGOSHIMAは全国地域リーグ決勝大会で敗退して、JFL昇格は出来なかったから、両チームは2013年も九州リーグに所属することになったわ。
2013年も両クラブが別々でJリーグに準加盟申請を出そうとしたけど、Jリーグが準加盟申請を受理しない意向を示したの。
鹿児島の経済環境や地域性から考えて、同じホームタウンで同じスタジアムを予定しているクラブが単独で申請しても、スポンサーの確保など、プロクラブを運営していけるのかが問題視されたわ。
Jリーグとしても2クラブが統合することが、Jリーグ参入の前提条件になったの。
そして、度重なる交渉の末、2013年のシーズン中に統合がまとまり、8月9日に翌年からの統合に関する発表が行われたわ。
統合に向けた具体的な作業は、JFL昇格のために行われる全国地域リーグ決勝大会の終了後ということになったわ。
そのシーズンはヴォルカ鹿児島が九州リーグで優勝して、FC KAGOSHIMAは2位だったの。
統合したからには、なんとしてもJFLに昇格しないとですね!
FC KAGOSHIMAはリーグ戦の結果では、地域リーグ決勝大会への出場権は得られなかったけど、決勝大会への出場権を持っていた、別地域のFC岐阜SECONDが、諸事情により出場を辞退することになり、九州リーグで2位だったFC KAGOSHIMAに出場権が回ってきたわ。
この年のJFL昇格要件は、地域リーグ決勝大会の決勝ラウンドで3位以内だったの。
どちらかが昇格すれば、来シーズンはJFLってことですよね?
そういうことね!
1次ラウンド、ヴォルカ鹿児島は3連勝で決勝ラウンド進出を決めたわ。
予選ラウンド最終節、すでに1敗しているFC KAGOSHIMAが決勝ラウンドに進出するためには、4点差以上の勝利が必要だったの。
前半45分を終えた時点でスコアは0-0だったの。
しかし、後半4分に先制して、そこから一気に得点を量産。
終わってみれば、4-0の圧勝で、FC KAGOSHIMAの決勝ラウンド進出が決定したわ。
ヴォルカ鹿児島とFC KAGOSHIMAが、そろって決勝ラウンドに進出したことで、統合後のチームがJFLに昇格することが決定したわ。
決勝ラウンドは4チームで戦うのだけど、ヴォルカ鹿児島とFC KAGOSHIMAのどちらかは3位以内に必ず入るからね。
最終順位は、FC KAGOSHIMAがJFL昇格の条件を満たす3位となったのに対し、ヴォルカ鹿児島は4位。
最終的にFC KAGOSHIMAの権利によって、JFLに昇格を決めたわ。
そして両者は「鹿児島ユナイテッドFC」として統合されることとなったの。
統合が地域リーグ時代ではなく、JFL昇格が決まった直後だったのは、結果として正解だったかもね。
2チームが地域決勝に出場したことで、JFL昇格の可能性は2倍に広がったわ。
また、昇格と統合が同じタイミングになったことで、メディアの注目が集まり、スポンサーも集まりやすくなったわ。
クラブ名については、当初は一般公募も予定していたけど、クラブ統合とJFL加盟申請の時間的な余裕がなかったの。
両クラブ協議のうえで「鹿児島ユナイテッドFC」というクラブ名とすることを決めたわ。
クラブ名の「UNITE」は、英語で「連合」を意味するわ。
これは、ヴォルカ鹿児島とFC KAGOSHIMAの統合という意味だけでなく、薩摩・大隅の両半島を含む鹿児島県民全体で協力してチームを盛り上げていく、県内外の鹿児島を愛する人々の団結力というの意味が込められているわ。
クラブエンブレムは、鹿児島のシンボルである桜島と錦江湾をイメージした絵をバックに、ヴォルカ鹿児島のチームカラーの赤とFC KAGOSHIMAのチームカラーのライトブルーを配したデザインで、「鹿児島を日本全国、世界へと発信できるクラブになっていく決意」を表現しているの。
統合後はJFLで2年間戦い、2015年シーズンに4位となったことで、2015年11月17日にJリーグへの入会が承認されたわ。
J3に昇格した2016シーズンに、J2ライセンスの申請を行ったけど、ホームスタジアムがJ2スタジアム基準を満たさないとして、不交付の判定となったの。
J3での成績を問わず、J2昇格は不可能となったわ。
今までもJリーグの試合を行っていた競技場ですよね?
なんでダメだったのですか?
ホームスタジアムの白波スタジアムは、2020年に鹿児島で開催予定の国民体育大会(国体)に向けて改修工事を行うことになっていたの。
しかし、2016年に鹿児島がJ2ライセンスを申請した際、改修工事中でもホームゲームの80%以上を開催できることが書面で合意されていない点と改修工事で2016年にメインスタンドが使用不可になるため、シーズン中を通して観客席10,000人を常時満たすことが確約できない点が問題視され、クラブライセンス不交付の判定に至ったわ。
結果的にはこのシーズンは5位で、成績的にも昇格には至らなかったけど、J2ライセンス不交付がモチベーションを下げたかもしれないわね。
ちなみに、翌2017シーズンには、無事にJ2ライセンスが交付されているわ。
成績に関しては、J3で上位の方をキープしている感じね。
2018年シーズンでJ3で2位になり、2019年シーズンはJ2に昇格したけど、1年でJ3に降格しているわ。
今シーズンの2022年は、9試合終わった段階で首位に立っているわね。
そうね。
がんばってJ2にリベンジしてほしいわね。
それでは、今日はこの辺で!
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