【ザスパクサツ群馬】(後編)・温泉地に誕生したチームのJリーグ昇格まで壮絶な物語。
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前回はザスパクサツ群馬の前身のリエゾン草津が、どのような生い立ちだったかを解説したわね。
いやぁー。
泣ける話でした。
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前編の動画はこちらを見てくださいね。
リエゾン草津がどうしてザスパクサツ群馬になったか。
どうやってJリーグに昇格したか。
そしてJリーグに昇格後の話をするわね。
前回話した通り、ザスパクサツ群馬の前身のリエゾン草津は2001年シーズンは圧倒的な強さで全勝で優勝し、群馬県社会人リーグ1部復帰を決めたわ。
この時のリエゾンは、群馬県リーグ2部だったけど、完全に1部のレベルを超えていたわ。
正直、関東リーグのチームと戦っても、勝つことは珍しくなかったの。
当時、リエゾン草津を運営面を見ていた飯島は、「リエゾン草津の運営規模をどう広げたらいいだろう?
」と考えるようになったの。
そして2001年12月に、スポーツマネジメント会社の賢持宏昭をはじめ、元セレッソ大阪の副社長だった大西忠生、元ベルマーレ監督の植木繁晴らがリエゾン草津を視察しに草津に来たの。
そして、賢持らは「リエゾン草津改革プロジェクト」を立ち上げたわ。
プロジェクトの内容は、3年以内でJリーグに行くこと。
群馬県リーグ→関東リーグ→JFL→J2という過程だから、ストレートで昇格していけば3年以内は可能ね。
正確には5年間でJリーグに昇格できなければ、プロジェクトは中止ってことになっていたわ。
財政的に多少の無茶をしても、「Jリーグに上がってしまえば降格はない。
」Jリーグに上がってから財政を安定させればよいという考えが、賢持にはあったみたい。
そのために、将来のJリーグ入りを念頭に、2002年にチームの組織を一新したの。
リエゾン草津の視察に同行した、植木繁晴を総監督にして、元日本代表GKの小島伸幸を選手兼コーチ元鹿島アントラーズのDF奥野僚右を選手兼任監督として獲得したわ。
さらには、Jリーグでプレーしていたが、戦力外通告を受けた選手を多く獲得したわ。
チーム名を「これぞ温泉」を意味する「The spa」から「ザスパ草津」へと変更したわ。
この時点では、まだ地域名に群馬はなかったのですね。
でも、ホームタウンは草津町をはじめ群馬県全域だったわ。
そして、群馬県リーグ1部を14戦14勝、得失点差+65の圧倒的な強さで優勝したわ。
関東リーグとの入れ替え戦では、図南サッカークラブと対戦し、PK戦の末勝利。
翌年は、関東リーグ1部に進むはずだったの。
2003年から、関東リーグのレギュレーションが変わってしまって、2部制になったのよ。
ザスパ草津が昇格する先が、関東リーグ1部から関東リーグ2部に変わってしまったわ。
タイミングが悪かったと言えばそれまでだけど、実は日本サッカー協会から新たな制度ができたの。
Jリーグ加盟を標榜するクラブに対する優遇措置ができたの。
いわゆる「飛び級制度」ね。
JFLよりも下のカテゴリーに所属しているチームで、将来のJリーグ加盟を目指すチームは、リーグ戦の成績に関らず、地域リーグ決勝大会に出場できる制度よ。
決勝リーグ2位以内に入り、JFL下位チームとの入れ替え戦にも勝てば、JFL昇格が認められるわ。
要するに、チームの戦力があれば、JFLまで一気に昇格させる制度ね!
もちろん承認されるには、戦力だけじゃなくて、財務状況とか自治体の支援、クラブの法人化など、さまざまなハードルがあるわ。
2003年2月、運営法人となる「株式会社草津温泉フットボールクラブ」を設立。
これによりJリーグ参入を目指す体制が整ったわ。
2003年にはかつて鹿島アントラーズや清水エスパルスで活躍したMFサントスを獲得したわ。
そして、草津町をはじめ群馬県や群馬県サッカー協会からの支援を取り付け、ザスパ草津は日本サッカー協会に対して、飛び級制度の適用を申請したわ。
無事に承認されたの。
これで関東リーグ2部の成績に関係なく、全国地域リーグ決勝大会に出場できるわ。
それでも、関東リーグ2部は11勝2分1敗、得失点差+40で優勝するんだけどね。
飛び級制度により、第27回全国地域サッカーリーグ決勝大会に出場したわ。
結果は、なんと優勝したのよ!
しかも、この年はJFLに所属していた、ジヤトコサッカー部が休部したために1枠空きができたの。
優勝したザスパ草津は、入れ替え戦に回ることなく、自動的にJFL昇格が決定したわ。
たしかにプレッシャーは相当なものだったのでしょうね。
ちなみに、この飛び級制度の第1号はザスパ草津だったのよ。
この飛び級制度は2011年度まで実施されたのだけど、実際に適用されたのは、ザスパ草津とSC相模原だけだったわ。
しかもSC相模原は、この制度を利用した時にJFLに昇格できなかったから、飛び級制度を利用した昇格は、結果的にザスパ草津のみになったわ。
ただ、この昇格で気を許したのか、この年の天皇杯に初出場したけど、1回戦の高円宮杯全日本ユース優勝で天皇杯の出場資格を得た市立船橋高校に1-0で敗れたわ。
余談だけど、この時の市立船橋高校は神がかっていて、3回戦の横浜Fマリノス戦は、延長を含めた120分で決着がつかず、PKまでもつれ込むほどの健闘をしたわ。
こういうユース世代が強くなると、日本全体のサッカーレベルが上がった気がしますね!
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話をザスパ草津に戻すけど、2004年は、選手兼任監督としてチームを指揮していた奥野僚右が古巣の鹿島アントラーズのコーチに就任したためチームを離れたわ。
JFLの規定で、監督はA級ライセンスを持っていることが条件なの。
奥野僚右はA級ライセンスを持っていなかったわ。
ザスパは植木繁晴を監督にして、JFLに初参戦したの。
2位以内がJ2昇格の要件だったの。
でも、3位のザスパ草津は、2位のHonda FCと勝ち点、得失点差が同じで、得点差が1だったことが考慮され、Jリーグの臨時理事会で、Jリーグ入会が承認され、翌年からJ2参加が決定したわ。
確かに!
この結果は実質2位でもおかしくないですね!
当初の計画通りに3年でJリーグまで行ったわ!
しかも、この年の天皇杯は、セレッソ大阪や同年のJリーグ年間王者である横浜Fマリノスに勝利して、ベスト8へ進出したの。
特に横浜Fマリノス戦では、後半29分と後半40分に退場者がでて、9人で戦うことになったのだけど、延長戦までもつれ込み、延長前半11分にザスパ草津がゴールネットを揺らして、2-1で勝利したわ。
すごい!
2人も少ないのに、ジャイアントキリングを起こすなんて!
Jリーグ初参戦の2005年は手塚聡監督で臨んだけど、他チームとの力の差は歴然で、5勝8分31敗で最下位(12位)だったわ。
しかも、この年は経営問題があかるみにでて、最終的にはJリーグからお金を借りることになるわ。
2005年9月17日、草津温泉フットボールクラブは、草津町より助成金500万円の返還請求を受けたの。
前年のJFL後期第10節を「草津町本白根第3グランド」での開催時に、草津町と協定を結び、草津町から補助金を受けたの。
協定は「観客用の仮設スタンドを購入し、試合後も草津町が無償で使用できる」としたものだったわ。
でも、草津温泉フットボールクラブは仮設スタンドを購入せずに、即日返却のレンタルで対応したことが判明し、この協定に違反したことが理由ね。
他にも、前橋市内の競技場で行われた、J2リーグ戦14試合の使用料が、施設を所有する群馬県に対して未納だったの。
草津温泉フットボールクラブは、「未納ではなく、支払う予定があるもの」とコメントしたわ。
さらには、5月及び6月に開催された5試合について、群馬県に支払うスタジアム使用料の算定根拠となる、有料入場者数や広告看板の設置数を、過少に申告していたの。
これらの不正は、経理担当社員による内部告発で、次々と明るみに出たわ。
不正は、当時社長の賢持宏昭の指示の下で行われたものとされ、大西忠生GMの要請によって、賢持は7月26日に代表取締役を辞任。
同年11月20日の臨時株主総会で取締役を解任され、大西が後任社長に就任したわ。
賢持は不正の指示に加え、2004年7月頃から出張費の仮払いや商標登録に関する費用として、約400万円を着服していたそうよ。
クラブ側は賢持の告訴も検討したけど、着服金の全額が返還されたことを理由として、刑事告訴は見送ったわ。
草津町からの補助金500万円や群馬県への使用料の未納金、1,730万円についても、2005年12月までに返還・納付したわ。
これらの事もあり、Jリーグはザスパ草津に、公式試合安定開催基金の適用第1号として、5,000万円を低利融資することを決定したわ。
同時にJリーグ常務理事と財務の専門職員が派遣され、経営再建が図られたの。
でもなんとか2008年1月までに、追加融資を加えた総額1億6,000万円を完済できたわ。
その後も経営状況は慢性的に不安定な状態にあって、2013年には3期連続の赤字を計上したわ。
債務超過額は8,700万円に上り、クラブライセンス審査で是正通達を出されたの。
債務超過の解消に向け、Jリーグの指導を受けることになったわ。
チームの方は、2006年に植木繁晴が監督に復帰し、巻き返しを狙ったが、9勝15分24敗で13チーム中の12位と低迷したわ。
その後はJ2で中位~下位をさまよっていて、2018年にJ3に降格したけど、2年でJ2復帰を果たしているわね。
駆け足だったけど、ザスパクサツ群馬の生い立ちはこんな感じね。
こうしたクラブの生い立ちを知ると感慨深いですね!
リエゾン草津だったころの選手の思いを継承して、サポーターや地元の人たちが盛り上げてほしいですね!
クラブ経営は大変かもしれないけど、J1昇格に向けて頑張ってほしいわね。
それではこの辺で!
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